2014/04/06

『リチャード三世』入門 〜素人による素人のためのややマーティンよりの〜

 マーティン・フリーマンが舞台でシェイクスピアの『リチャード三世』のリチャード3世を演じる、しかも今年の夏、という大ニュースにあたふたした興奮もおさまらぬうちに、ベネディクト・カンバーバッチが同じリチャード3世をやる、というニュースも飛び込んでまいりました。2015年か2016年のBBCのドラマのようです。

『リチャード三世』はシェイクスピアの作品の一つで、イギリスで実在した国王、リチャード3世をモデルとした史劇です。(有名な『リア王』『ハムレット』は史劇ではありません。)シェイクスピアは、イギリスの王様を主人公にした史劇をいっぱい書いていますが、タイトルの終わりに「二世」とか「三世」とか「四世」とかついていたら、その確率が高いと思われます(?)。

 その『リチャード三世』で、どうしてそんなに大騒ぎになるの?、と分からない方も多いと思いますが、その理由は、ど素人のわたしが推察列挙するだけでも、実に多岐にわたります。

  • リチャード3世は、外見が醜くく残忍な暴君としてイギリスでは知られている
    • それらの悪いイメージはあとの国王によるネガティブキャンペーンのたまものであるらしく、実際はそんな風ではなかったらしい
    • シェイクスピアは、リチャード3世を暴君として描いたが、それは当時そういうふうに言われていたからのようだ
  • リチャード3世は暴君だ、いやそうではない、という論争は、英国国内では終わりのないネタらしい
    • 要するに話題になって盛り上がる。うわさ話が好きなあれ…
  • 『リチャード三世』のリチャード3世
    • 多くの名優たちが演じたい・演じてきている役(らしい)
    • シェイクスピアの演劇史上重要な役柄のひとつ(のようだ)
  • リチャード3世の遺骨が、最近本物が発掘された


 もともと重要な人気のある役柄で、数々の名優たちが演じてきて、そのうえ骨が発掘され、2014年はシェイクスピア生誕450周年等々。いろいろ盛り上がる要素がつきないのです。

 そんなさなかにマーティンは舞台をやるのです。大成功して彼のキャリアに輝かしい記録を付け加えるか、あるいは失敗して黒歴史となるか。(何をもって成功や失敗というのかさっぱりわからんですが)何かと話題の多い役柄を、いまをときめく人気俳優がやるのだから、それだけでも祭だわっしょい。


 そしてベネディクトのほうですが。
 2012年に The Hollow Crown というドラマがありました(未見)。

The Hollow Crown DVD4枚組[英字幕のみ][PAL-UK]
日本では放送されておらず、字幕入りのDVDなどもない模様。



 このドラマでは、シェイクスピアによる史劇『リチャード二世』『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』をベースにして、リチャード2世、ヘンリー4世、ヘンリー5世が描かれています。これが実に大変評判が良かったようで。この続編のような作りになるなら、ベネディクトのリチャード3世も絶対すばらしいに違いまいよ!、と盛り上がってしまうのです。


 ベネディクトとマーティンは、ホームズとワトソンであり、ビルボとスマウグです。何かとセットで考えてしまうファンには、同じ役を演じるなんて、もうたまらんでしょうし、そうでないファンでも、イギリスが世界にばんばん放つ人気者同士のこと、話題はつきないと思います。

 では『リチャード三世』読みたいんだけど、何か先に勉強しておかないとだめかなぁ?、と手を止めているそこのあなた。とりあえず1冊買って読み始めてしまいましょう。勉強なんてあとあとあとです。登場人物とか似た名前が多くて、ちんぷんかんぷんで何の話しているかよくわからないことが多くても、おもしろいから大丈夫です。

 なぜわからなくても楽しいかというと、それがシェイクスピアだからです。とんちんかんだな〜、と読んでいても、いきなり「キラリ」と光る台詞が、あなたの目に必ず、必ず飛び込んできます。それがシェイクスピアなんです。わからなかったことは読み終わったあとに、気になっていたら気になっていることだけ、ググってWikipediaとか読んで、補ってみましょう(ネット上にはWikipediaだけでなく細かい説明サイトがわんさかあります)。あまりにもわからんのは気持ち悪いわ!、という方は本の終わりにきっと解説が載っているので、それをさらっと読んでから本文に入るのも良いかもです。

 しかしちょっとした勉強なんて、実は無駄なのです。世界史やった人ならわかるかもしれませんが、『リチャード三世』は「薔薇戦争」というイギリス人もうんざりの歴史のぐちゃぐちゃな時期の終わりの頃の話なので、一度読んだくらいで何かがわかるはずないんです。わからなくてよいのです。

 マーティンのファンなら、「マーティンがこんな意味の台詞をいうんだな」という動機だけで、120%楽しめます。それでも全部読めそうにはないわ…、という人は、第一幕第二場、リチャード3世(グロスター)がアンを口説くところだけでも読みましょう。幸せになれますから。


リチャード三世 (新潮文庫)
ウィリアム シェイクスピア
新潮社



シェイクスピア全集 (〔4〕) (白水Uブックス (4))
ウィリアム・シェイクスピア
白水社



『時の娘』はリチャード3世に関する謎解きをする歴史ミステリ。猛烈におもしろかったです…。

時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)
ジョセフィン・テイ
早川書房




追記:ベネディクトのほう確定情報きました!

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